各民泊メディアでも多く取り上げられている通り、コロナウイルスの影響で民泊を含む宿泊業界の売上・予約減少しています。
ターゲット客層の変更、撤退や休止などの対策を取らないと経営が成り立たない状況です。
あなたが経営する民泊でもかなりの打撃を受けると思います。
このままでは廃業必至の状況ですが、そんな方のために、日本政府や各自治体でコロナ対策のための融資斡旋が行われていることをご存知でしょうか?
同ウイルスの流行により、売上が一定額減少してしまった方が利用できる融資で、これを利用すれば、限度額6,000万円の運転・設備資金を3年間実施無利子で借り入れることができます。
現在経営が苦しい方にとっては是非とも利用したいですよね。
融資を利用して民泊を立て直したいという方のために、この記事では日本政策金融公庫と東京23区が行っているものをまとめて解説していきます。
この記事をお読みになれば、民泊オーナーが利用できる融資をすべて把握することができますので、ぜひ参考にしてあなたの運営に役立ててください。
目次
日本政策金融公庫で受けられる2つの特別融資
まずは日本政策金融公庫(以下、日本公庫)が受けられる融資からお話ししていきましょう。
民泊など宿泊事業が対象になっているのは以下の2つの融資です。
- 新型コロナウイルス感染症特別貸付
- 新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付
表を使って順番に説明していきますので、ぜひ目を通してみてください。
新型コロナウイルス感染症特別貸付
利用対象者 | 新型コロナウイルスの影響を受け、一時的な業況悪化に陥っている方。 かつ、以下1または2のいずれかに該当し、中長期的に回復・発展が見込まれる方。 1. 最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方。 2. 業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している方。 (1)過去3ヵ月の平均売上高 (2)令和元年12月の売上高 (3)令和元年10月から12月の平均売上高 |
資金用途 | 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 6000万円(別枠) |
利率(年) | 基準利率(1.36~1.55%) ただし、3,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率 |
返済期間 | 設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内) |
運転資金:15年以内(うち据置期間5年以内) | |
担保 | 無担保 |
まずは冒頭でお話しした限度額6,000万円の融資です。
こちらはコロナウイルスの影響を受ける事業主の方々のために作られた1番新しい融資になります。
最近1か月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している場合に受けることが可能です。
つまり、今年2月の売上が去年・一昨年の2月の売上よりも下がっていたら受ける資格があるということです。
また、開業して3か月~1年しか経っていなくても過去3か月の平均売上高や去年の12月の売上高、去年10~12月の平均売上高と比較して下がっていれば受けることができるため、ほとんどの事業主の方が申請できるようになっています。
利率に関しても、3,000万円以内の融資であれば3年間0.9%の利率補給が付くので、非常に低い利子で借入ができます。
さらに、売上高が15%~20%を下回る方の場合は利息がもっと低くなりますので、実質無利子での借入も可能です。
ですが、3年を過ぎると0.9%の利率補給がなくなり、元の利率で支払うことになりますのでご注意ください。
より詳しい情報が知りたい方は新型コロナウイルス感染症特別貸付からご覧ください。
新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付
対象者 | 新型コロナウイルス感染症の発生により、一時的な業況悪化から資金繰りに支障を来しており、次のいずれにも該当する旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業を営む方 (1)最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して10%以上減少しており、かつ、今後も売上高の減少が見込まれること (2)中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれること |
資金用途 | 経営を安定させるために必要な運転資金 |
融資限度額 | 別枠1,000万円(旅館業を営む方は、別枠3,000万円) |
利率 | 1,36~1.55% ただし、振興計画の認定を受けた生活衛生同業組合の組合員の方については、実質無利子 |
取扱期間 | 令和2年2月21日から8月31日まで |
こちらはコロナウイルスの影響を受ける宿泊業、飲食店・喫茶移転営業を営む方限定の融資となります。
前述した「新型コロナウイルス感染症特別貸付」よりも限度額は低いですが、融資期間が7年とこちらの方が短いため短期的な資金繰りに向いています。
また、旅館業であれば限度額3,000万円の融資を受けられるため、旅館業法の許可で民泊を運営している方にオススメです。
しかし、資産用途が運転資金限定なため、設備などに資金をあてられない点には注意が必要です。
東京23区で受けられる特別融資
日本公庫以外にも、各自治体で融資を募集しているところがあります。
限度額は500~1,000万円と日本公庫に比べると小さい額ですが、無利子で短期間の借入が可能なのが特徴です。
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と同じような条件で融資できますので、日本公庫の融資と合わせて借入するのも1つの手です。
23区中16区を表にまとめましたので、ご自身が民泊を運営している場所がありましたら、リンクから詳細をご覧ください。
限度額 | 貸付利率 | 利子補給率 | 融資期間 | |
---|---|---|---|---|
港区 | 500万円 | 無利子(区が負担) | 区が全額負担 | 7年(うち据置1年) |
江戸川区 | 1,000万円 | 2.0% | 1.5%以内 (本人負担0.5%) | 6年以内 (据置6か月以内) |
北区 | 1,000万円 | 1.9%以内(本人無利子) | 1年目:1.9%(本人負担0%) 2年目以降:1.5%(本人負担0.4%以内) | 5年以内 (うち据置12か月以内) |
足立区 | 1,000万円 | 金融機関所定 (固定金利) | 1年目:3%まで全額負担 2~4年目:貸付利率の3分の2(上限16%) | 金融機関所定 |
荒川区 | 500万円 | 1.9%(本人負担0.6%) | 1.3% | 5年以内(うち据置1年) |
大田区 | 500万円 | 無利子(区が負担) | 1.5%以下(本人負担0%) | 3年以内 (元金据置6か月以内を含む) |
葛飾区 | 1,000万円 | 2.0%(本人負担0.3%) | 1.7% | 6年以内 (据置6か月以内) |
品川区 | 500万円 | 3年間無利子 4年目以降0.2% | 5年以内(うち据置12か月) | |
杉並区 | 1,500万円 | 0.67% | 運転資金:7年以内 設備資金:9年以内 併用資金:7年以内 (うち据置6か月以内) |
|
墨田区 | 1,000万円 | 2.0%(本人負担0.2%) | 1.8% | 6年以内 (うち12か月以内) |
世田谷区 | 300万円 | 2.2%(本人負担0.3%) | 1.9% | 1年6か月以内 (うち据置6か月) |
台東区 | 500万円 | 1.9%以内(本人負担0.4%) | 1.5% | 5年以内 (うち据置6か月以内) |
千代田区 | 500万円 | 区民:2.0%(本人負担0.3%) 一般:2.0%(本人負担1.3%) | 区民:1.7% 一般:0.7% | 5年以内 (据置12か月以内) |
文京区 | 1000万円以内 | 1.7%(本人負担0.2%) | 1.5% | 8年以内 (うち据置12か月) |
目黒区 | 500万円以内 | 当初3年間:無利子 4年目以降:0.1% | 5年以内 (うち据置1年) |
銀行の融資と比べるとどれくらいお得なのかを検証
ここまで日本公庫と各自治体で募集されている融資制度についてお話ししてきましたが、もう1つの借入手段として、銀行からの融資を受けるというのも1つの手です。
しかし、結論から述べますと、銀行からの融資はあまりオススメはできません。
理由はいたってシンプルで、銀行融資の金利が日本公庫や各自治体に比べると非常に高いからです。
以下に現在公開されている各銀行のコロナ対策融資の金利についてまとめましたので、ご参照ください。
銀行名 | 限度額 | 利率 | 返済期間 |
---|---|---|---|
りそな銀行 | 原則5億円以内 | 2.4~3.05% | 5年以内 |
三菱UFJ銀行 | 3,000万円以内 | 1.475%~ | 5年以内 |
みずほ銀行 | 最大3,000万円 | 2.5%ほど | 5年以内 (元金均一返済、1年据置可能) |
このように銀行での借入は金利が高く、その分限度額が高いのが特徴です。
限度額が高いのが魅力的な反面、返済期間が短いため、個人事業主がほとんどな民泊オーナーの方々で返しきれるかは難しいところです。
その点、日本公庫や各自治体の融資は期間が長く、短期的な借り入れに向いているため、コロナウイルスのような一時的な非常事態の借入に向いています。
以上の理由で、弊社では日本公庫と各自治体の融資の利用をオススメしています。
計画的に融資を受け、民泊経営を立て直しましょう!
ここまで、現在行われている日本公庫、東京23区自治体の融資をご紹介してきました。
これらを資金源に民泊経営の立て直しを図ることが可能です。
コロナウイルスの流行という非常事態の影響で、実質無利子の融資が多いので、損失なく借り入れることが可能です。
しかし、無利子とはいえ相当な額を借りることになり、それらを必ず返済しなければならなりません。
返せないとなると事業倒産の危険もあるため、減少前の収支と相談しつつ、計画的にご利用ください。