民泊の法律

地域限定!新法旅館のデメリットがない特区民泊

2019年12月23日

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、民泊を合法的に運営するためには3つの法律のうちいずれかに適応しなくてはなりません。

  1. 旅館業法
  2. 民泊新法
  3. 国家特別戦略区域法(特区民泊)

さて、これらのうちの特区民泊ですが、他の法律とどのような点が違うのかご存知でしょうか?

多くのお客様から、特区民泊は一体どのような制度なのか問い合わせをいただくため、今回このような記事を書くに至りました。

そもそも特区民泊は、国家戦略特別区域法という法律に定められた民泊の運営形態の一つです。

その名の通り区域限定にはなりますが、非常に民泊運営がしやすい法律になっています。

非常に運営がしやすい、というのは具体的にいうとどのような点になるのでしょうか?

それは以下の2点になっています。

    

  1. 旅館業法のように法適応の基準が難しくない(用途変更の必要がない)
  2. 新法のような180日間の運営日数制限がない

このように地域限定ではあるものの、他の法律ではデメリットになりうる点がないのが特区民泊の特徴になります。

他にはないデメリットがある一方、特区民泊だけにしかない特別な条件があるのも事実です。

そこで今回は、特区民泊について押さえておきたいポイントや、実際の弊社による運営事例についてお話致します。

特区民泊とは??特区とは旅館業法の特例のこと!

さて、そもそも特区民泊とはどういう民泊なのでしょうか?

特区民泊は、物件の所有者がゲストと短期賃貸借家契約を結び、ゲストに「家を貸す」をいう形式で行う民泊のことです。

他の新法や旅館業法では、ゲストに宿泊施設を提供するという形式を取りますが特区民泊では「賃貸契約」という形を取ります。

ここで注意しておきたいのが、「通常の賃貸契約は1か月以上がひと単位でないと結べないものになっている」という点です。

というのも、過去の判例から一か月未満の賃貸契約は宿泊業とみなされ、旅館業法に違反してしまうことになる方です。。

実際に判例でウィークリーマンションが旅館業法に違反しているという判決が出た判例もあります。

しかしながら、国から定められた特区では旅館業法の特例として、認定を受けた物件に限り短期間での賃貸契約が可能になっています。

これを「特区民泊」と呼ぶことになっています。

本来はアウトの短期賃貸を、特別に許可されているのが「特区」と呼ばれる所以です。

さてそれでは次に、その特区民泊を運営するために自治体から受けなくてはいけない「認定」についてお話します。

特区民泊運営に必要な「認定」とは?

特区民泊を運営するためには、該当する区域の自治体による「認定」が必要になります。

認定を取るための流れは大まかに以下のようになっています。

  1. 保健所に行って事前相談を行う
  2. 消防に行って消防設備に関する監督を受ける
  3. 保健所での相談内容、消防の監督をもとに物件を整備する
  4. 消防設備の確認を消防署から受ける
  5. 必要書類を保健所に提出する
  6. 認定が下りる

認定を取るためには保健所と消防で相談をしなくてはならない、ということをまずは押さえておいて下さい。

後ほど所要時間のところでもお話しますが、特に消防の手続きは時間がかかるので早めに始めてしまいましょう。

保健所の手続きや消防法に関しては、ここでは話しきれないような内容になっているた気になる方は以下の記事も参考にしてみて下さい。

次に、特区民泊を運営できる「特区」は実際にどの地域が当てはまるのかをお伝えします。

特区民泊が運営できる地域

特区民泊が運営できる区域ですが、2019年12月現在、5か所に定められています。

  • 新潟市(新潟県)
  • 大田区(東京都)
  • 千葉市(千葉県)
  • 大阪市(大阪府)
  • 北九州市(福岡県)

これらの区域で物件をお持ちの方のみが、特区民泊を始めることができます。

ここ以外の地域の物件で民泊を運営したい、という方は旅館業法や新法に乗っ取って民泊を始めることになります。

特区民泊の注意点

短期賃貸借家契約を結ぶ必要がある

再三になってしまいますが、特区民泊でゲストに民泊を貸し出す場合には、短期賃貸借家契約を結ばなくてはなりません。

よってゲストを泊めるためには、短期賃貸借契約のための契約書の準備が必要です。

ここで注意しなくてはいけないのですが、契約書は日本語はもちろんのこと、外国人ゲストにも対応すべく英語や中国語でも準備しなくてはいけません。

そうでないと外国人ゲストを宿泊させることができません。

当然と言えば当然ですが、外国人ゲストを泊める場合には外国語の契約書を用意することが義務づけられています。

日本の民泊利用者の8割が外国人なので、外国語でも必ず用意すべきものです。

  1. 特区民泊では短期賃貸借家契約が必要
  2. 必ず外国語でも契約書を用意しなくてはならない。

2泊3日以上9泊10日以下の制限がある

続いての注意点はこちらです。

特区民泊には新法のような年間の営業日数制限はありません。

ですが、1ゲストあたりの宿泊日数には制限があります。

それが2泊3日以上9泊10日以下という規定になっています。

以前は6泊7日以上でなくてはならないという規定だったのですが、2018年の法改正により2泊3日からの運営が可能になりました。

1泊のゲストは泊めることはできませんが、9泊以下の長期滞在ゲストは泊めることができますので、この日数制限は運営していてほとんど気にならないでしょう。

ですが、こちらは必ず短期賃貸借家契約の内容の中に記載しなくてはなりませんので注意が必要です。

最低床面積が25㎡以上

特区民泊では、最低床面積に決まりが設けられています。

その決まりとは

収容人数関係なく25㎡以上の床面積が必要

というものです。

この25㎡というとリビング+1部屋くらいの間取り、つまり1Kか1DKくらいの物件が目安になりますね。

例えば旅館業法の場合、その部屋の収容人数が10人以下であれば1人当たり3.3㎡の床面積が必要になっています。
また収容人数が10人以上の場合は33㎡以上の面積があれば営業が可能、という決まりがあります。

これと比べて特区では25㎡さえあれば常識の範囲内であれば何人泊めてもいいことになってます。

なので、2段ベッドなどを利用して旅館業法よりも多くの人数を泊めることが可能です。

ご自身が運用する物件に応じて、収容可能人数を最適化していくのがオススメです。

住居専用地域では運営できない

最後の注意点がこちらになります。

新法や旅館業法とも同様の注意点になりますが、用途地域が「住居専用地域」となっている物件では特区民泊の認定を受けることができません。

行いたい物件の用途地域が「住居専用地域」という地域ではないことを必ず確認してから運営の手続きを進めて下さい。

用途地域に関してはこちらの記事で詳しくお話していますので、よろしければ併せてご覧ください。
住宅街で民泊をやる意味はない!?密接に関係する用途地域を完全解説!を読む

特区民泊を始めるために必要な費用とその期間

ここまで特区民泊の特徴や注意点についてお話してきました。

それでは特区民泊の運営を始めるためにはどのくらいの費用が必要で、どのくらいの期間がかかるのかご存知でしょうか?

それぞれについてお話します。

特区民泊にかかる初期費用

初期費用としては、大きく分けて3つの項目に分けられます。

それぞれ

  1. 設営費用
  2. 消防費用
  3. 認定手続き費用

に分けられます。

設営費用はベッドや冷蔵庫などの家具や注意書の張り紙、鍵の管理費用などにかかる費用になります。

物件の広さにも寄りますが、ベッド2つ、ソファベッド1つをおける1LDKで50㎡くらいで大体50万円~70万円程度かかると思っていいでしょう。

消防設備

次に消防設備についてです。

消防設備とは、火災報知器や避難誘導灯などを指します。

こちらも物件の広さに寄って費用がかわるのですが、1LDKで50㎡くらいの物件では大体40万円程かかります。

認定手続き費用について

こちらは旅館業法や民泊新法などとあまり変わらず、大体15万円程度料金になります。

手続きの書類を提出し、認定を受ける際に必要になる費用です。

認定にかかる期間について

認定にかかる期間ですが、準備を始めてから早くて一か月程度、遅いと3か月程度になることがほとんどです。

これは旅館業法や新法でも言えることですが、認定にかかる期間を決める律速段階は消防署の申請になります。

消防に適応するためには

  1. 消防署での事前相談
  2. 相談内容に乗っ取って設備を業者に依頼
  3. 設置後、消防署に確認してもらう

という3段階の手順を踏まなくてはいけないわけですがこれらのうち2段階に消防署が関わってきます。

消防署はかなり混み合っていることがほとんどですので、2手順で関わることになる消防で時間を取られてしまうのはやむをえません。

なので、申請の際には消防署の手続きを早めにやってしまって、その対応を待っている間に

  1. 家具の準備
  2. 申請に必要な書類集め
  3. 内装の改修

などの、消防以外の準備をしてしまうのがオススメです。

特区民泊の事例

続いて、特区民泊で運営を実際にした事例についてお話します。

当社で運営している特区民泊の物件を例にお話してみましょう。

事例その1.大阪府千日前 サンヨーグリーンハイツ

1つ目が大阪市の千日前で特区民泊として運営している物件になります。

賃貸としての家賃は14万円の物件です。

民泊として運営した結果、稼働率平均75%となり、収益が月に35万円程上がるようになりました。

賃貸でやっていた時の2.5倍ほどの収益が上がったわけですが、ここまで収益が伸びるのが大阪での特区民泊の強みですね。

初期投資額が130万円程度になりましたので、それを4か月で回収する、という投資としてみると破格の回収期間となりました。

売上(年平均):55万円
収支(年平均):35万円

事例その2.大阪市 シャトー乃一

二つ目が、同じく大阪市で特区民泊として運営している2DKの物件になります。

こちらは賃料が9万円の物件になります

特区民泊として運営を始めた結果、稼働率平均78%となり、収益が月に22万円程度上がるようになりました。

同じく賃貸の頃の2.5倍の収益をあげ、初期費用の110万円を5か月回収する形で運営を続けています。

売上(年平均):40万円
収支(年平均):22万円

特区民泊まとめ、特徴や注意点は??

特区民泊は地域限定である一方、

  • 旅館業法のような手続きが必要ない
  • 民泊新法のような180日制限がない

という点から他の法律の目立った欠点を無くしたような民泊運営が可能になっています。

ただし、旅館業法の例外という形を取っており、宿泊者とは短期賃貸借契約を結ばなくてはいけない、という点を押さえておいて下さい。

また、初期費用は最低100万円、運営を始められるまでの期間は1か月~3か月くらいを見ておく必要があります。

以上を抑えたうえで、特区で認定を取って特区民泊を始めてみて下さい。

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