2020年1月14日、各ニュースサイトでOYOの大阪・名古屋からの賃貸事業撤退が報じられました。
OYOは2013年、インドで創業されたベンチャー企業。CEOは当時19歳だったリテッシュ・アガーウォール氏です。
2019年3月にはヤフー株式会社との合弁でOYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN 株式会社を設立し日本に進出。
スマートフォンひとつで賃貸の入退去が出来る手軽さを売りにOYO LIFEの名称で短期賃貸サービスを首都圏から開始しました。
同年10月に大阪、11月には名古屋など名阪地域にも進出を果たしたものの、わずか3か月足らずで撤退の判断が下されることになりました。
そんなニュースを受けて今回の記事では、「OYOの大阪・名古屋からの撤退の理由」と「OYOの名阪撤退が及ぼす民泊業界への影響」について民泊に携わる人間の見解を示していきたいと思います。
OYOのビジネスモデルは日本での賃貸の常識を変える
OYO LIFEがこれまでの賃貸ビジネスと差別化されるポイントはそのビジネスモデルにあります。
前提として、OYO LIFEは転貸型の賃貸モデルで、物件のオーナーと居住者を繋ぐプラットフォームを提供しています。
オーナー側のメリット
物件のオーナーとして一番大きいメリットは「家賃収入の保証」がつくということです。
OYOではオーナーから物件を借りて、その部屋をさらにOYOユーザーに転貸します。
仮に入居者がいなくても賃料をOYOからオーナーに支払うため、オーナーにとっては空室による無収入リスクが抑えられます。
不動産賃貸の経営において、空室リスクが一番懸念すべきポイントになりますから、それが抑えられるのはオーナーにとって嬉しいメリットなのではないでしょうか。
居住者のメリット
居住者としてのメリットはスマホで賃貸契約が完結するというメインテーマも然ることながら、
・全ての部屋で家具家電付き
・お試し入居可
・敷金・礼金・仲介手数料0円
・公共料金・Wi-Fiなどの通信費込み
・定期的なハウスキーピングなど基本的なアメニティ込み
という手厚いサービスにあります。
こういった点でOYOは日本の賃貸にある悪しき慣習を打ち破るのではないかと期待されました。
OYO LIFEの課題
しかし、OYO LIFEには下記のような課題があるのではないかと考えられます。
「薄利である故にターゲットに沿った料金設定が出来ていない」
まず転貸型賃貸全体のビジネスモデルとして課題となるのは薄利であること。
特にOYOでは、居住者がいなくても物件のオーナーに賃料を払い続けています。
このため、利益を増やしていくにはいかに稼働率を上げて薄利多売を突き詰められるかが勝負になるわけです。
賃貸ビジネスで薄利多売を実現するには人口が密集してる都市で運営するのが得策でしょう。
OYO LIFEにおいても人口密集地の首都圏や大阪・名古屋に進出しました。
しかし、ふたを開けてみると3か月足らずで大阪・名古屋から撤退という結果になりました。
では何故撤退という判断に至ったのか。
これについては稼働率が芳しくなく、収益回収がうまくいかなかったからだろうと言われています。
その原因はなんでしょうか。
以前、新R25というWebメディアではOYOの特集としてホリエモンこと堀江貴文氏とOYO LIFE グロース統括責任者の山本竜馬氏による対談がありました。
その内容を少し抜粋すると
堀江氏「俺は、OYO LIFEの超高級版とかがあったら住んでみたいですけどね。そういうのはやらないんですか?」
山本氏「やりたいんですけど、まずはいったんマスで認知されてからかなと…」
(出典:住環境に不満を抱えるホリエモンは、スマホ完結の賃貸サービス「OYO LIFE」をどう評価する?
URL:https://r25.jp/article/736382331466677725)
ここでOYO LIFEのターゲットはマス(ここでは一般的な消費者)であることが語られています。
しかし、OYO LIFEにて何件か物件を覗いてみるとわかるのですが、通常の賃貸物件よりも明らかに数万円程度高い料金設定になっています。
確かに家具や初期費用が0円で入居できることは嬉しいのですが、その分家賃が高くなってしまうとマス(一般的な消費者)のファンを獲得するのは難しそうです。
かと言って薄利なビジネスなため、料金設定を引き下げることが出来ない。
この理想と現実の狭間にOYO LIFEの課題があり、大阪・名古屋からの撤退に追い込まれたのではないでしょうか。
OYOの名阪からの撤退が民泊に及ぼす影響は?
今回のニュースが民泊に及ぼす影響として可能性があるのは、名阪地域でOYOに物件を貸していたオーナーのうちビジネスの嗅覚に長けている人が民泊に参入してくることです。
賃貸経営では毎月同じ金額の家賃収入しか得ることが出来ません。
よって7,8月などの閑散期に空室が出てしまうと、その部屋から収入を得ることは難しくなります。
一方で、民泊ならば宿泊してもらえばもらうだけ収益を上げることが出来ます。
特に、2020年は東京オリンピックが開催される年です。
民泊利用者の8割に達すると言われている訪日外国人客が溢れかえり民泊需要が爆発する「ここ数年で最も民泊が稼げる年」になるわけです。
空いている物件があるならやらない手はありませんよね。
日本全体で約8,000まで拡大していたOYO LIFEの部屋のうち2~3割にあたる2,ooo件ほどが大阪・名古屋で空き室になると言われています。
既に名阪地域で民泊を運営されている方としては競合が増えるため、収益が低下する可能性もあるでしょう。
競合の増加に伴う民泊戦略の見直しについてご要望があれば、私たちBCMにお気軽にお問合せください。
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