民泊の法律

民泊をはじめるなら、住宅宿泊事業法(民泊新法)から!

2019年12月24日

民泊を始めるにあたって、欠かすことができないのが物件を法律に適応させることです。

2019年11月現在、民泊を始めるためには3つある法律のうちいずれかに適応しなくてはいけません。

適応しなくてはならない法律
・住宅宿泊事業法(民泊新法)
・旅館業法
・国家特別戦略区域法(特区民泊)

2018年6月に民泊新法が施行される以前、民泊を行うには旅館業法か特区民泊に適応するしかありませんでした。

しかし、その2つの法律は基準が厳しい、または地域が限定されていたため、多くの人に取って適応するのが難しいものでした。

そこで政府は、基準を下げ合法的に民泊を運営しやすくしたい、という意図から民泊新法を制定しました。

「基準を下げたかった」という背景があるため、新法は旅館業法のようなそれまでの民泊法よりも基準が難しくありません。

このため新法は民泊初心者向きの法律とも言われています。

初心者向きとはいえど人を宿泊させるわけですから相応の規則は存在します。

そこでこの記事では、必ず押さえておきたい新法の特徴や注意点についてお伝え致します。

合法的に民泊を運営するためにも是非読み進めてみて下さい。

民泊新法の他2法にはない特徴

まず最初に、民泊新法特有の特徴についてお話します。

法手続きがもっとも容易である

1つ目の新法の特徴が、他の2法に比べて法手続きが容易である、という点です。

一体なぜ新法は法手続きが容易なのか、ご存知でしょうか?

それは、民泊新法は法手続きの扱いが「届出」という扱いになっているからです。

どういうこと?

と思う方が多数いらっしゃるはずですのでもう少し簡単にお話します。

「届出」であるため、民泊を始める際に自治体に

「基準を満たしましたのでこの物件で民泊を行います」

という届出をこちらから出すだけで民泊運営が可能になります。

出すだけ、とはいえど届出をするためには満たさなくてはいけない基準、例えば消防設備や緊急時の対応などの基準は存在します。

新法では「基準を満たしました」という証明書類を提出するだけで運営が可能になります。

一方、旅館業法や特区民泊では、書類で営業の申請をした後に、本当に営業基準を満たしているかどうかを確かめるための調査が行われます。

調査は主に、消防設備や間取りに関する物件への立ち入り調査がメインです。

このような調査をクリアしたのちに「許可」や「認定」を受けて、初めて営業が可能になります。

詳細な調査があるかないか、という点が法手続きの難易度を決めているのです。

要点box

新法は「届出」という扱いのため、営業難易度が低い
一方、旅館業法や特区民泊では申請の後、「許可」や「認定」が必要で細かな調査がある分難易度が高い。

物件によってはデメリットに、180日の運営制限がある

新法の特徴を抑える上でもう一つ重要なのがこの「180日制限」です。

これは、

「毎年4月1日から数えて1年間で、合計180日間までしか営業してはいけませんよ」

という制限のことを意味します。

つまり、180日間までしかゲストを宿泊させることができないということです。

これは他の

・旅館業法
・特区民泊

にはない民泊新法でもっとも注意すべき特徴といえるでしょう。

180日間しか運営できないのならば、収益が他の2つの法律よりも少なくなってしまうのではないか?

と考える方もいらっしゃるかと思います。

確かにその通り、日数制限から年間の売り上げはもちろん旅館業法や特区民泊に比べて劣ってしまう可能性もあります。

ですがそれは180日以上宿泊者が入る物件に限った話です。

もし仮に民泊を始めても年間180日が埋まらなかった場合、わざわざ基準の難しい旅館業法や特区民泊に適応した手間が無駄になってしまいます。

つまり180日制限は物件によっては他2法に比べてデメリットになってしまうと言えます。

ちなみにこのことを考慮に入れて、

まずは新法で運営してみて、180日を超えそうな場合旅館業法や特区民泊に切り替えていく

という上手な経営方針を立てる民泊経営者の方もいらっしゃいます。

以上ご紹介した2点に加えて、次に新法における運営形態についてお話していきます。

民泊新法に乗っ取った運営形態

新法の法律の特徴を抑えたうえで、次に新法における民泊の運営形態について説明します。

新法の中では、民泊は「家主居住型」と「家主非居住型」という2つの運営形態が存在します。

どちらの運営形態にすべきかは、どのような物件を民泊として利用するかに寄って決まります。

運営予定の物件を頭に思い浮かべながら読み進めてみて下さい。

・家主居住型:ホームステイ型で民泊をするならこちら

まずはこちらの家主居住型、いわゆるホームステイ型について説明致します。

この家主居住型では、自分の住んでいる住宅内部、敷地内部の一部を宿泊者に貸し出すことによって民泊を運営します。

これがホームステイ型ともいわれる所以ですね。

ただし、この家主居住型で民泊を行うには条件が存在します。

家主居住型で民泊運営をできるのは

・家主の不在時間が1回の外出につき1時間以内の場合
・貸し出している居室が5部屋以下の場合

に限られます。

居住型で行う場合、ゲストの安全を家主が確保するように義務づけられているため、このような厳しい制限がつけられているのです。

この二つの場合以外の方は下の家主非居住型で運営することになります。

家主非居住型:物件にホスト不在で民泊をするならこちら

次に、もう一つの運営形態である家主非居住型の民泊についてお話します。

非居住型においては、基本的にホストが自宅とは別に所有している物件を利用して民泊を運営することになります。

例えば、

・今現在賃貸を行っている不動産を民泊に切り替えたい
・使っていない空き家を民泊に利用したい

といった場合、必然的にこちらの家主非居住型で運営を行うことになります。

さてここで、一つ重要なことをお伝えします。

家主非居住型で民泊運営を行う場合、物件の所有者であるあなたが民泊の運営をすることはほとんどの場合できません。

新法において、物件の提供者は「住宅宿泊事業者」、運営者は「住宅宿泊管理業者」という扱いになっており、
運営は「住宅宿泊管理業者」に委託しなくてはいけない決まりになっています。

さらに、集客に関しては、3つ目の立場である「住宅宿泊仲介業者」に依頼しなくてはなりません。

これら3つの立場

・住宅宿泊事業者
・住宅宿泊管理業者
・住宅宿泊仲介業者

らの違いについては、詳しくは次の項目で説明致します。

こちらを理解していないと、民泊新法の手続きの際にかなり手間取ることになるのでこれを機にしっかりと理解を深めてみて下さい。

理解していないと法手続きが大変! 運営の3つの立場とは?

それでは、民泊を運営する時の3つの立場についてお話します。

こちらの3つの立場について把握しなくてはいけないのは、一つ前の項目でお話した家主非居住型で民泊を始めたいホストの方になります。

先ほどの物件提供者と運営者の扱いについても詳しく説明しますので、注意して読み進めてみて下さい。

物件の所有者:住宅宿泊事業者

まず最初に、物件の所有者である「住宅宿泊事業者」についてお話します。

住宅宿泊事業者とは、民泊にする物件を提供する方のことを指します。

つまり今ある物件を用いて民泊を始めたい、と考えている方はこちらの「住宅宿泊事業者」という立場になります。

再三になりますが、住宅宿泊事業者が民泊を運営するわけではない、という点は押さえておきましょう。

次の住宅宿泊管理業者の資格を持っている人でないと民泊の運営はできません。

民泊の運営者:住宅宿泊管理業者

続いては住宅宿泊管理業者についてです。

こちらの住宅宿泊管理業者が実質的な民泊の運営者に相当します。

「物件を持っていれば民泊を運営できる」と考えている方が多くいらっしゃいますが、実は運営については外部に委託せざる負えません。

というのも住宅宿泊管理業者は、国に管理業者としての登録をして資格のある方しかなることができないからです。

この住宅宿泊管理業者の運営内容としては

住宅宿泊仲介業と連携して集客
宿泊者名簿の作成
収益の算出
物件の設営
清掃
苦情への緊急対応
鍵の受け渡し
緊急のトラブル対応 etc..

などがあげられます。

この業務内容を見ただけで、運営の大変さが少し想像できるのではないでしょうか?

特に、苦情への対応や緊急トラブルの対応は民泊運営にかなり慣れていないと対処がむずかしいです。

この業務内容を考えると、運営を外部委託しなくてはいけないという法律は理にかなっているとも言えますね。

さて、それでは最後に集客の依頼先である住宅宿泊仲介業者について説明していきます。

Airbnbなど、集客サイト:住宅宿泊仲介業者

最後にこちら、集客サイトを運営する住宅宿泊仲介業者についてです。

仲介業者は、AirbnbやBooking.comのように民泊の集客媒体を提供している業者になります。

イメージとしては、管理業者が仲介業者の提供しているサービスを利用して民泊のゲスト集客を行う形になります。

こちらは物件の所有者の方が直接関わることの少ない業者ですので、
「集客媒体のことをこう呼ぶんだ!」

とさえ理解しておけば差支えないでしょう。

最大の注意点、用途地域を誤ると収益が上がらない!

さて、ここまでは民泊新法の特徴や運営の形態についてお話してきました。

ここで、一つ絶対に注意しなくてはいけない物件に関する条件についてお話します。

それは、物件の建っている地域の「用途地域」というものについてです。

「用途地域」とは、地域ごとに建築できる建物の種類や用途を制限している決まりのことです。

例えば、住居専用地域という地域では住宅以外の旅館や工場のような住居以外の用途を目的とした建物を建築することはできません。

他には、工業専用地域のような病院や旅館を建築できない地域もあります。

民泊新法では、「住居専用地域」という地域に対して規制がかかります。

「住居専用地域」とは、物件の用途が住居のみに限定されている地域になります。

この地域に置いて、民泊は運営日数を制限されてしまします。

制限の内容はその物件の地区を管理する自治体の条例によって決まっています。

例えば新宿区の住居専用地域では、民泊を金夜~月曜朝にかけてと、祝日にしか運営できないことになっています。

週末と祝日だけになると、1年間で121日間になります。

これは新法の日数制限である180日の2/3程度しか運営できない計算になってしまいます。

単純に計算して売り上げも2/3程度になってしまうため、住居専用地域は民泊運営に非常に不利な地域であることがお分かり頂けると思います。

住居専用地域での民泊運営は全くオススメできません。

民泊は住居専用地域以外の地域で行いましょう。

この用途地域につきましては

oo(物件の住所) 用途地域

と検索すればすぐに知ることができます。

結局どんな方にオススメの法律なのか?

以上、ここまで新法の特徴や押さえておきたい注意事項についてお話してきました。

それでは、3つの法律のうち新法はどのような方にオススメの法律になっているのでしょうか?

新法の最大の特徴である

・法適応が3つの中でもっとも簡単

という点から考えると、民泊をやったことのない初心者の方にオススメの法律となっています。

また、多くの方にとってメインの運営形態となる「家主非居住型」では、民泊に精通している「住宅宿泊管理業者」に運営を委託することになりましたね。、

このように管理業者からのサポートがあるという点からも初心者にはオススメの法律といえるでしょう。

ただし、注意しなくてはいけないのが「用途地域」についてでしたね。

「住居専用地域」においては180日制限以上の運営日数制限をかけられてしまうため、収益をあげるのが難しくなっています。

運営するには必ず「住居専用地域」以外の物件にしましょう。

以上を押さえて、合法的に民泊運営を始めてみて下さい。

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