他の記事やサイトで何回も読まれているとは思いますが、民泊には3つの法令があり、いずれか1つを取得することが必須となっています。
それが、
です。
この中でも国家戦略特別地域(以下、特区)のみで取得することができる特区民泊は旅館業法よりもハードルが低く、民泊新法よりも多く稼働ができます。
旅館業法の特例という扱いで、2泊3日~9泊10日までという制限はありますが、1年中営業できるため民泊新法よりも収益が上がりやすいのが特徴です。
なので、特区内に物件を持っている方々はぜひ取得しておきたい法令となっています。
東京であれば大田区が特区に当たりますね。
では、特区民泊を取得するにはどのような行程を経て、必要な書類は何なのでしょうか?
この記事では、特区民泊の要件、申請の流れ、必要書類についてお話して、大田区で特区民泊を運営しようという方々をサポートします。
もちろん、他の特区でも共通する事柄は多くありますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
確認必須!特区民泊の認定要件
まずは申請を始める前に、本当にあなたの物件で民泊ができるのかを確認しましょう。
他の法律と同様に特区民泊には行政が認定を出す際の要件があり、クリアするのが大前提となっています。
特区民泊の認定要件は以下の4つです。
- 国家戦略特別区域の範囲内であること
- 一居室の床面積が25㎡以上であること
- 宿泊者名簿を設置し、厚生労働省令で定める滞在者の情報の記録ができること
- 周辺住民に対し、施設が特区民泊事業を反復して行うことについて適切な説明がされていること
- 地域住民からの苦情・問い合わせについて、適切かつ迅速な処理が行われること
確認せずに相談をしに行っても門前払いさせるだけなので、必ず1回は目を通しておいてください。
国家戦略特別区域の範囲内であること
こちらは言わずもがなですよね。
特区民泊は政府が定めた特区の中でしか効果がありません。
旅館業法の特例ですので、どこでも申請できるわけではないのです。
ちなみに特区に指定されている区域は全部で10つありますが、特区民泊の申請ができるのは5つとなっています。
認定申請可能な特区一覧
- 東京都大田区
- 千葉県千葉市
- 新潟県新潟市
- 大阪府大阪市・八尾市・寝屋川市
- 福岡県北九州市
上記以外の地域では特区民泊の申請はできませんので、旅館業法か民泊新法での運営になります。
一居室の床面積が25㎡以上であること
戸建てで申請をするのならば特に問題はありませんが、マンションの部屋で特区民泊を運営したい場合は要注意です。
また、一居室は部屋ごとのカウントとなっていますので、マンションを丸々民泊とする場合は各部屋で基準をクリアする必要があります。
宿泊者名簿の設置
特区民泊は基本、家主がいない「家主不在型」で運営することになりますので、滞在者に宿泊名簿への記帳を呼びかけることが必須となっています。
なので、必ず名簿を設置できるスペースを作っておきましょう。
紙媒体の他にも、チェックインタブレットなどのIoTでの代用が可能ですので、利用するのも1つの手です。
周辺住民への周知
特区民泊では近隣住民への周知により、「この物件で民泊をやりますよ」ということを知らせる必要があります。
基本的にはあなたの氏名や住所、民泊を行う施設の名前や住所、問い合わせの際の連絡先などを記入した周知書を作成して、住宅のポストに入れれば完了です。
周辺の住宅の定義は以下の画像のようになっています。
原則として特区民泊を行う予定の施設の半径10m以内の建物には周知が必要です。
範囲内にマンションやアパートがある場合も同様で、すべての居室に知らせる必要がありますので、もし近所にある場合は周知書は多めに用意しておきましょう。
地域住民からの苦情・問い合わせへの適切かつ迅速な処理
騒音やゴミ、火災などのトラブルに迅速に対応できることを行政に示す必要があります。
認定申請の際に書類として提出しなければなりませんので、書類提出のフェイズに入る前にしっかりと対策を考えておきましょう。
特区民泊の認定申請の流れ
上記の認定要件をすべてクリアしたら、次はいよいよ認定申請を進めることになります。
認定申請の流れは大きく分けて5つに分かれます。
- 保険所・消防署との事前相談
- 近隣住民への周知文書の作成
- 認定申請、申請手数料の納付
- 書類審査、現地調査
- 認定書の交付
どのような流れで申請を進めていくのかが頭に入っているだけでもスムーズに進めることができるので、ぜひお読みになりながら申請してみてください。
保険所・消防署との事前相談
まずは民泊をする物件の図面を持って、区の生活安全課と消防署に事前相談をしに行きます。
図面をもとに双方が必要な設備を提案してくれるので、それに従って揃えていくことになります。
消防設備を揃えないと後述する「消防法令適合通知書」を発行してもらえませんし、生活安全課の立ち入り検査でOKを貰えませんので、この段階で設備の購入を始めていきましょう。
近隣住民への周知文書の作成
同時並行で、周知文書を作成して近隣住民に周知していくことになります。
基本的に周知文書をポストに投函するだけで十分ですが、区域によっては住民説明会を開く必要があるため、事前相談の際に生活安全課に確認するようにしましょう。
認定申請、申請手数料の納付
以上2つを終えたら、認定申請書と添付書類を揃えて生活安全課に提出することになります。
必要書類については申請の流れの後に説明していますので、ぜひ最後までお読みください。
なお、申請手数料は¥20,500かかります。
現金での支払いなので、ご注意ください。
書類審査、現地調査
提出した後は書類審査と立ち入り検査が入ります。
生活安全課と消防署に指示された通りに設備を整えておけば何も問題はありません。
もし問題があれば、問題点を直した後にまた立ち入り検査が入ることになります。
認定書の交付
書類審査と立ち入り検査をクリアすれば、区から認定書が送付され、特区民泊の運営が可能になります。
宿泊予約サイトに認定番号を入力し、集客を開始しましょう。
特区民泊の必要書類
認定申請の流れをお話ししたところで、次は特区民泊の認定に必要な書類についてお話しします。
旅館業法の特例というだけあって、揃えなければならない書類は非常に多いです。
ですが、入手難易度はそこまで高くなく、認定を進める間に自然とできるものもありますのでしっかりと認定申請を進めていきましょう。
必要な書類は以下の7つとなっています。
- 住民票の写し
- 賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款
- 施設の図面
- 近隣住民への周知を完了した旨の報告
- 近隣住民からの苦情、問い合わせに適切に対応するため体制や方法
- 施設を事業に使用するための正当な権利を証明する書類
- 消防法令適合通知書
この中でも注意すべきものは、
- 賃貸借契約及びこれに付随する契約係る約款
- 施設を事業に使用するための正当な権利を証明する書類
の2つです。
約款は物件ではなく、あなたに民泊を営業する資格があるかを証明するものになっています。
証明しなければならないのは以下の6つです。
(ア) 認定を受けようとする最低滞在期間未満の解約できない旨の条項
(イ) 施設滞在者は、日本語又は対応外国語に対応できる者であること。
(ウ) 日本に住所を有しない外国人は旅券、日本人及び日本に住所を有する外国人の場合は、旅券又は運転免許証等の身分証明書の呈示を義務付ける条項
(エ) 施設使用の際の注意事項を遵守する条項
(オ) 対応できる外国語の種類
(カ) 各施設で提供する役務
引用:特定認定審査基準・添付書類等一覧 -大田区HP
この条件をクリアすることができないという方は民泊運営代行などに運営を委託するのも1つの手です。
後者の「施設を事業に使用するための正当な権利を証明する書類」はあなたが民泊を始めようとしている物件の権利が誰にあるのかに関わっています。
元々あなたが所有している物件であれば何の問題もありません。
しかし、もし賃貸や転借で民泊を運営する場合は物件を所有している大家さんや不動産業者に民泊運営の許可を受けなければなりません。
その「民泊してもいいですよ」という旨の証明書を作成して提出しなければいけません。
黙って民泊運営をすると、トラブルに発展する可能性があるので、必ず許可を取るようにしましょう。
スムーズに申請して、東京オリンピックに間に合わせよう!
ここまで特区民泊の申請の流れや必要書類を大田区を例にしてお話ししてきました。
大まかな流れはどの特区も変わりはありませんが、細々とした必要書類は異なる場合がありますので、事前相談の際に確認するようにしてください。
大田区は羽田空港がある区域ですので、東京オリンピックの際は外国人観光客で賑わう可能性が大きい場所です。
コロナウイルスが収束すれば高い収益が得られることでしょう。
ですので、もし民泊を始めたいなとお考えの方はぜひ特区民泊を認定を受けて、民泊運営を始めてみてください。
また、申請、運営の際に分からない点や不安な点がございましたら、弊社に無料で相談することができますので、以下のバナーからお気軽にご相談ください。